注文住宅に地下室を設けるメリット・デメリットについて解説!
注文住宅は自分の好きなように建物を設計できる点が魅力です。土地を有効に活用する上で、地下室を設けることも選択肢のひとつでしょう。ここでは地下室にはどんなタイプがあるのか、地下室にはどんなメリットとデメリットがあるのか、設置にどの程度費用がかかるのかなど、注文住宅を建てる際に役立つ地下室の情報をご紹介します。
地下室のタイプごとの特徴
「地下室」と一言でいっても、その深さや作り方によっていくつかの種類があります。
もっともスタンダードな地下室は「全地下タイプ」で、地盤よりも下に天井のある地下室です。断熱性や遮音性に優れているので趣味の部屋として活用しやすい特徴があります。
地盤よりも高い場所に天井のある地下室は「半地下タイプ」です。傾斜地や階段状の土地を利用した地下室はこのタイプが多くなります。天井が地面よりも上にあるので、窓を設置すれば地下でも採光が可能です。地下室を居室として使うためには、開口部が設けられていること、温度調節のための設備があること、外壁や床に必要な防水処理されていること、といった条件があります。
地下室の高さが1.4メートル以下でその階の広さの2分の1以下であれば「収納庫」の分類になるでしょう。この場合、地下室は延床面積には含まれません。「収納を増やすために地下室を作りたい」という場合はこの条件に当てはまるよう作るのがよいでしょう。
注文住宅に地下室を設けるメリット
地下室のメリットとしてまず挙げられるのは床面積を増やせるということです。とくに都会で土地面積が狭い場合、地下を活用することで床面積を増やし、住空間を増やすことができるのは魅力的といえます。
さらに地下室は延床面積が1/3まで除外されるため、容積率が緩和されるのもポイントです。地下室を作ると建物の耐震性を上げることもできます。地下室は地面に埋まっているため、地震が起こった際は地面と一緒に動くのです。そのため、地震の揺れによる影響を軽減する制震効果があり、地震の多い日本において嬉しいメリットといえます。
また、地下室は遮音性が高いので音の出る趣味や静かに集中するための部屋にも最適です。シアタールームやオーディオルーム、楽器演奏ができるプレイルームや書斎などさまざまな使い方ができます。周りのことを気にせず趣味に没頭できるでしょう。地下室は気温や湿度の変化が普通の部屋よりも小さいので、ワインセラーなど食品や飲料の保管場所にも適しています。
さらに、地下室は有事の際のシェルターにもなるのです。平和な日本ではイメージがしにくいかもしれませんが、外国には核シェルターの設置を推奨している国もあります。食品の保管にも適しているので、もしものときの避難場所としても地下室は有効に活用できるでしょう。
注文住宅に地下室を設けるデメリット
地下室を作るデメリットとしてもっとも大きいのは費用面です。地下室を設置すると建築費用が5割以上増えることもあります。地下室を作るためには地盤が崩れてしまわないよう事前に地盤に対策を施す必要があるうえ、防水工事や鉄筋の配置、コンクリートの打設など基礎工事の規模も大きくなるのです。その分、建設費用が膨らむことになります。
また、地下室はどんな土地でも設置できるものではありません。水脈が近い土地は浸水してしまうので施工ができないうえ、周辺道路の拡張計画がある土地などではコンクリートの打設に制限がかかるためやはり施工できないのです。想定以上の雨が降った際、地下室に浸水するリスクもあります。
また、トラブルを避けるため周囲の住宅から一定の距離をとることも必要です。地下室を作ることを前提で考えている場合は、土地探しの段階で地下室の施工が可能な土地かどうか確認をしましょう。
地下室の設置にかかる費用
地下室を作るためには、地下室の施工が可能な土地かどうかを調べる地盤調査(ボーリング調査)に30万円程度かかります。加えて、構造計算に20~30万円程度、設計費用として30~80万円程度必要です。
また、地下室の広さにもよりますが、鉄筋コンクリートの躯体が完成するまで周囲が崩れないよう仮の壁を設置する山留工事費が200万円程度、地下室を作るために地面を掘る採掘工事に200万円程度、地下室に水が入らないようにする防水工事に80万円程度、そのほか換気や排水のための設備工事に100万円程度がかかります。
一般的に地下室は坪単価50万円~200万円といわれています。大手ハウスメーカーはオプションとして地下室施工が用意されていることもありますが、特殊な施工や外注になることが多く、より割高になる傾向です。地下室の施工をどこに依頼するかは予算も鑑みて決めるとよいでしょう。
まとめ
地下室は、費用はかかりますが土地を有効活用できるうえ、家の耐震性を高めることもできます。趣味の部屋としてもぴったりなので憧れを持っている方も多いのではないでしょうか。狭い土地や傾斜地など、地下室を作ることで快適な住まいにできるケースもあります。一方でそもそも地下室の施工ができない土地もあるのです。施工には費用もかかります。どうしても地下室を作りたい方は、こちらで紹介した内容も参考に地下室の設置について検討してみてください。