2025年度からの新築住宅「省エネ義務化」とは?
2025年度から新築の住宅について大きな変更が計画されています。これまで何度か検討されてきた新築住宅の省エネ義務化が決定的となり、今後住宅を持とうとする場合に大きな影響を受ける可能性が出てきたのです。この記事では、2025年度からの新築住宅「省エネ義務化」について、そのメリットやデメリットなど徹底解説します。
省エネ義務化とは?
政府が進めている脱炭素社会の実現に係る制度になります。住宅および建築物の省エネ対策になり、実は以前から検討されてきました。しかし、工務店などの業界団体は「景気を冷やす」などの理由から反対し、長らく棚上げされてきました。けれども、2021年になり国土交通省は有識者会議を開き、新築住宅に対し断熱性能を高めるなどして省エネルギー基準に適合させるよう義務付けることで合意したのです。
■省エネ義務化の目的とは?
2050年のカーボンニュートラル、という目標が大きく関わっています。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることです。つまり、森林などによる吸収量を差し引いて、二酸化炭素を始めとする温室効果ガスの排出量をゼロにするわけです。
その達成のためには、一つ一つの住宅が省エネを達成しなければなりません。少しでもエネルギーの消費を抑えた家造りなどを推進させることで、結果としてカーボンニュートラルを達成しようとしているのが省エネ義務化の目的なのです。
■2021年4月より省エネ性能の説明義務化がスタートしている
すでに建築物の省エネ性能について、建築士から建築主への説明が義務化されています。建築士は設計する建物の省エネルギー基準の適合の可否、さらには省エネ性能確保のための措置など建築主へ説明が実施されているのです。
省エネ住宅を建てるメリット
では、実際に省エネ設計の住宅を建てるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
■電気代の削減
光熱費の削減が期待できます。省エネ住宅の最大の特徴は、断熱性能および日射遮蔽能力の高さにあります。したがって家の中の温度を一定に保てるようになり、結果としてエアコンなどの使用量を抑えることになり、快適な生活ができるようになるようです。
さらに、太陽光発電システムの導入をすることで自然エネルギーが効率的に利用できるようになり、売電収入で光熱費をカバーできることも充分に考えられます。
■税制面での優遇制度あり
省エネ住宅は国として進めているものであり、基準を満たすと税制面でさまざまな優遇が受けられます。国や地方自治体などの補助金を受けることも可能になるようです。
ちなみに2022年の省エネ住宅による税制優遇には、低炭素住宅の住宅ローン減税が最大500万円の減税、省エネ改修をした場合の住宅ローン減税(5年ローン型)は最大25万円の減税、長期優良住宅化改修をした場合の所得税減税が最大62.5万円の減税です。税制面の優遇については、かなり細かく設定されているので事前に確認されることをおすすめします。
■遮音性あり
断熱性能が高いのが省エネ住宅の特徴であり、暖雪性と同時に遮音性にも大いに期待できます。そもそも省エネ住宅は、床や壁に高性能の断熱材を使用するようです。また窓には、気密性をアップさせるために特殊なサッシが使用されることも珍しくありません。それらが遮音性を高めてくれるのです。
■健康的な暮らしが実現できる
省エネ住宅の特徴として、高気密および高断熱があります。先程述べたように、住宅内を一定の温度に保てるため急激な温度変化が起こりにくいです。たとえば、冬場の風呂場で起きるようなヒートショックも発生しにくいうえ、ガラスに発生する結露も抑えられるようになります。
省エネ住宅の種類ごとの特徴
省エネ住宅にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。ここでは、その中でもとくに重要な3つの種類について特徴を解説しましょう。
■ZEH(ゼッチ)
住宅の断熱性能や省エネ性能を上げて消費エネルギーを減らすとともに、太陽光発電などの自然エネルギーを活用してエネルギーを創り出す住宅のことを指しています。具体的には、消費エネルギーの収支をプラスマイナス0以上にする住宅です。まさにカーボンニュートラルに即した家といえるでしょう。
■認定低炭素住宅
二酸化炭素の輩出を抑制するための措置が講じられている住宅のことを指しています。認定されるためには、省エネルギー基準を超える性能を持ち、資金計画が適切であるなど厳しい基準が設けられています。
■長期優良住宅
その名のとおりに長期にわたって使用できる住宅であり、居住環境などへの配慮があるとともに一定面積以上の居住面積を有している必要があるようです。維持保全の期間、方法を定めていることも求められます。
まとめ
2025年度からの新築住宅「省エネ義務化」についてお伝えしました。2050年のカーボンニュートラルに向けた政策の一つであり、今後住宅を建てるうえで大きく関わるものになることは間違いありません。コストが高まるデメリットはありますが、光熱費が下がり居住環境が高まるなど見逃せないメリットも少なくありません。とくに税制の優遇については、確認しておくとよいでしょう。