注文住宅の耐震性に関わる耐震等級とは?各等級の違いと安全さについて
マイホームを建てる時、「耐震等級をどうするか」とハウスメーカーなどから尋ねられ、返答に窮した経験のある方もいるのではないでしょうか?「耐震等級は高いほどよい」ともいわれがちですが、それは本当なのでしょうか?この記事では、住宅の耐震性に関わる耐震等級をご紹介します。各等級の違いと安全を知りたい方は、参考にしてください。
耐震等級が表すものと区分
ここでは耐震等級が表すものと、その区分についてまとめています。
■そもそも、耐震等級とは何か?
耐震等級とは、「建物がどれぐらい地震に強いのか」を示す指標のことです。具体的には、どれぐらい建物が倒壊するリスクを抑えられるか?という目安を、数字で表したものとなります。そして、耐震等級は「住宅品質確保促進法/品格法」に基づき、以下三つのランクに分類されています。
■耐震等級1
耐震等級1とは、建築基準法に基づく「建物に備えるべき耐震性能」を必要最低限満たした状態を指します。必要最低限といっても、震度5はもちろん震度6強や7の地震が起きても建物が崩壊や倒壊、または損傷しないレベルです。ただし、崩壊や倒壊を免れても、震災後は建て替えや大規模な修繕が必要となる場合もあります。
■耐震等級2
耐震等級1の1.25倍の耐震強度がある状態を、耐震等級2と定めています。震度7の地震が起きても倒壊しないのはもちろん、一定の修繕さえ行えばそのまま問題なく暮らしていけるとされる強度です。なお、よく大規模な震災が起きた時に避難所として一般開放される学校の体育館、そして警察署や病院も耐震等級2以上を義務付けられています。
■耐震等級3
耐震等級3の強度は、なんと耐震等級1の1.5倍です。住宅性能表示制度のなかで、最も堅牢な建物とされています。耐震等級2と同様、震度6強や7の地震でも建物が崩壊・倒壊しないのはもちろん、損傷があっても軽い補修程度で済み続けることが可能です。なお、消防署などは耐震等級3の建物が多いです。
耐震等級は家を建てる時に決められる
最近ではよく、「耐震等級3が標準仕様です」という謳い文句を前面に出したハウスメーカーや工務店が目立ちます。しかし、実際には耐震等級は家を建てる時に自分で決められるのです。
■施主には自分で決める権利がある
「耐震等級3が標準仕様」と公式ページなどに書かれていると、ついその仕様で依頼しないといけないような気がしてしまうかもしれません。しかし、実際には施主が住む家なので、間取りやコンセントの配置と同じように施主自身が決める権利があるのです。「建築に関しては素人だから」といった遠慮もあるかもしれませんが、希望がある場合は遠慮せずに伝えましょう。
■費用面も考慮する材料の1つ
残念ながら耐震等級を高くすると、その分建築費用がかさむのは事実です。よって、「自分がどこまでならお金を出せるか」「住宅ローンでいくらまで借りられるのか」など、費用面も耐震等級を選ぶ際に考慮する材料の一つだといえるでしょう。ただし、耐震等級のなかには地震保険の保険料が割引されるケースもあるため、それも含めて考慮する必要があります。
注文住宅の地震対策は耐震等級だけではない
よく「耐震等級が高いほど地震に強い」と捉えがちですが、それは誤った認識です。実際には、注文住宅の地震対策は耐震等級以外にもいくつか抑えるべきポイントがあります。
■制震構造
制震構造とは「振動軽減装置」を建物内に設置し、地震の揺れを吸収するようにした構造のことです。上階になるほど地震による揺れは大きくなりますが、「振動軽減装置」の働きにより上階の揺れが軽減したり揺れ自体早めに収束させたりできます。
■免震構造
免震構造とは、「免震装置」を建物とその基礎の間に設置した構造を指します。「免震装置」は建物が揺れても損壊させないというよりも、建物の揺れ自体を軽減させるのが目的です。また、建物の損壊を防ぐだけでなく、家具の転倒による被害を防ぐ働きもあります。
■転倒対策
ここでいう転倒対策というのは、その家に住んでいる人のことではありません。その家にある、家電や家具の転倒対策を指しています。地震が起きると、家電や家具が倒れてきて下敷きになってしまう被害が後を絶ちません。このような悲劇を避けるために造り付けの家具を用意したり、隙間のできないピッタリとした設置スペースを設けたりするなど、転倒防止を心がけましょう。
注文住宅の耐震性に関わる耐震等級について、各等級の違いと安全さをご紹介してきました。耐震等級には三つのランクがありますが、必要最低限の基準を満たす耐震等級1でも「震度6強や7の地震で建物が崩壊・倒壊することはない」とされています。また、注文住宅の耐震性は、家を建てる時に施主自身が決められるのです。どの耐震等級を選ぶのかは各個人の自由ですが、しっかりと情報を集めて後悔しない家づくりを目指しましょう。