耐震性を左右する?耐震等級を高めるためにも重要な耐力壁とは

公開日:2022/03/15   最終更新日:2022/03/28


「耐力壁」をご存知でしょうか?リフォームや家づくりの際に、言葉だけ聞いたことのあるという人もいるでしょう。耐力壁とは一体どんな壁で、どういった役割を持っているのでしょうか?この記事では、耐力壁の特徴や代表的な耐力壁の種類、そしてバランスの考慮への重要性を紹介します。耐力壁について知識を深めたい方は、参考にしてください。

耐力壁ってどんな壁?

そもそも耐力壁とは、どんな壁のことを指すのでしょうか?ここでは耐力壁について、詳しくまとめています。

■耐力壁とは何か?

耐力壁とは、建物の耐震性を強化するのに欠かせない壁です。建物には常に、建物自体の重さによる力(垂直方向)と、台風による強風などによる力(水平方向)の2つがかかっています。この2つの力に抵抗し、建物を支えるのが耐力壁に課せられた使命です。なお、垂直方向の力に関しては、耐力壁だけでなく柱も一緒に建物を支えています。

■横揺れに強いのが特徴

耐力壁がとくに得意とするのは、建物を横揺れから守ることです。木造住宅では、一般的に「軸組工法」という工法が採用されています。この「木造軸組工法」で建てられた住宅は接合部分が回転しやすいことから、水平方向からかかる力への抵抗力が弱くなりがちです。そこで、横揺れ問題を解決するために考案されたのが、耐力壁となります。

■プランに制約は出るの?

残念ではありますが、耐力壁を設けることで多少プランに制約が出てしまいます。具体的には、2×4(ツーバイフォー)工法なら開口部や間取り部分に、そして木造軸組工法なら間取りに制約が発生するのです。しかし、一戸建てに関しては耐力壁の移動も可能なので、そこまで気にする必要はありません。それよりも、耐震性を考慮したほうがよいでしょう。

代表的な耐力壁の種類

耐力壁には、いくつかの種類があります。工法ごとに耐力壁の作り方が変わってくるため、それぞれどんな工法なのか、順番に見ていきましょう。

木造軸組工法

日本の木造住宅で、もっとも採用率の高い工法が木造軸組工法です。木造軸組工法における耐力壁は、筋交いを使って造ります。なお、「筋交い」というのは梁・柱・床・土台の4点で構成された枠内に、斜めに渡した補強材のことです。この補強材が、横揺れが起きた際に建物が歪むのを防ぎます。

また、筋交いには片筋交い・たすき掛けの2種類があり、この他にもMDF(木質中質繊維板)や構造用合板による耐力壁やなどもあります。

2×4(ツーバイフォー)工法

木造枠組壁工法とも呼ばれていますが、その名の通り2インチ×4インチの角材による面材と木製パネルを掛け合わせ壁・天井・床を作って箱で面型に組み立てた工法です。そして2×4(ツーバイフォー)工法では、この面材が耐力壁となります。面で建物全体を支えるため、地震などの衝撃も躯体全体に分散されるのが特徴です。

鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造の建物には、耐力壁と非耐力壁があります。壁の厚みや壁内に含まれる鉄筋量が違いますが、見た目上の区別はつきません。ただし、開口部が大きい壁に関しては、耐力壁ではない可能性が高いです。

耐力壁は量だけでなくバランスも考慮

ここでは、耐力壁のバランスについてまとめています。「壁倍率」といって、耐力壁には各種類でのバランスがあらかじめ定められています。その倍率が耐力壁としての強さを示すため、倍率通りの施工がされなければ本来の役割を果たさないのです。また、釘を打つ場合も規定の釘を使用し、決まった感覚で決まった位置に打たなければ、耐力壁として機能しません。

■耐力壁を増やし耐震性をアップ

耐震性を高めたいなら、耐力壁を多めに設置することをおすすめします。しかし、ただ「とにかく耐力壁を増やせばよい」という話ではなく、バランスも考慮しなくてはいけません。

具体的には、2階建てなら1階と2階で同じ位置に耐力壁を設置したり、四隅を支える形で設置したりするなど、ポイントを押さえながら場所を決めていきましょう。

■バランスが考慮されないと…?

耐力壁を設置する場合は、バランスへの考慮も重要です。たとえば、ごく一部の場所にだけ耐力壁が集中してしまうと、却って耐震性の低いバランスの悪い建物になってしまいます。

なお、かつては建物の剛心や重心を考慮しながら、構造設計する必要がありました。しかし、建築基準法が2000年に改正された結果、「バランスが取れているかどうか」の判断がしやすくなったのです。

 

建物の耐震性を高めるのに欠かせない、耐力壁について紹介しました。なお、一戸建てなら耐力壁も移動させられますが、マンションの耐力壁は建物の構造を支える躯体となるため、共有部分として扱われています。よって、住民が勝手に場所を変えたり撤去したり、ましてや穴を開けたりすることはできません。そして、建物の耐震性を守るためにも、家づくりやリフォーム工事は耐力壁や耐震等級に詳しい業者に依頼しましょう。

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